【ベテラン刑事が本音で解説】盗犯刑事4つの魅力と3つの苦労 警察官のやりがいシリーズ

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れお巡査

将来、刑事希望です。
盗犯係の刑事のやりがいは、どんなところですか?
web上にある刑事さんのインタビューは本当なの?

都道府県警察の公式ホームページなどに載っているインタビューは嘘ではありません

でも、公式HPに、ネガティブな記事を載せないというのは当然です。警察のイメージを良くするような内容のものを、好んで載せるのも当然です。

一方で、盗犯刑事のキツイ部分にも触れます。

😊この記事で解決できるお悩み
  • 盗犯刑事がどんな仕事かが詳しく分かる
  • 盗犯刑事の4つの魅力・やりがいの本音が分かる
  • 悲しい・キツイ現実も分かる

まずは、盗犯刑事って何?というところから説明します。 

目次

盗犯刑事って何? 

刑事課の係別 役割り
強行犯殺人・誘拐・強盗・放火・性犯罪
盗犯空き巣・ひったくり・万引き
知能犯詐欺・横領・汚職
組織犯薬物・暴力団・外国人組織

盗犯というのは、窃盗犯のことで、窃盗事件を担当する刑事のことです。

担当する罪名は、窃盗罪一択です。

時々、窃盗に関連して他の罪名も扱いますが、ほぼ窃盗と言って間違いありません。

こういった『窃盗犯』を扱う係が盗犯係で、盗犯刑事なんです。

刑事ドラマの>>踊る大捜査線 で言うと、

  • 青島俊作 刑事~織田裕二が、強行犯係
  • 恩田すみれ 刑事~深津絵里が、盗犯係

になります。

『踊る大捜査線』は、刑事ドラマの中では、実際の刑事課に最も近いなぁ~と感じるドラマでした。(終わって残念!)

随分、前の映画なので、若い警察官は、見ていない人がいると思いますが、刑事に興味がある方は、見てみてください。

盗犯刑事の4つのやりがい・魅力・メリット

1.被害者から喜んでもらえる

もーやん

れお巡査は、なぜ盗犯刑事を希望しているの?

れお巡査

小さい頃、家に入った窃盗犯を捕まえてもらったとき、母がすごく喜んでいて、そんな刑事さんになりたいと思いました!

盗犯刑事をやっていると、被害者から直接、感謝される機会が、たくさんあります。

空き巣捜査の実際

連続空き巣犯人を捕まえた時などは、空き巣の余罪事件を何10件と自供することがあります。

こんな場合、被害者のお宅に、1件1件『どろぼう、捕まえましたよ』と連絡するんです。

でも、犯人は、金が無いから盗みをしている訳で、しかも何年も刑務所に行く訳ですから、
そんなヤツに、盗んだお金を返せる訳がありません

犯人は、盗んだお金を弁償することなく、その分、刑務所に長く入ることになるんです。

それでも市民は感謝してくれる

それでも被害者のほとんどは、

『お金は仕方ないです。捕まったと聞いただけで、安心できました。ありがとうございます。』

感謝されるんです。

それを聞くと、やはり、

  • 犯人を捕まえられるのは、我々刑事だけなんだ
  • もっともっとたくさん捕まえて、喜んでもらおう!

やりがいを感じます

2.捕まえるときの興奮

刑事の本音

県警の採用ホームページ等では、盗犯刑事のやりがいとして、
『被害者に感謝されるのがやりがい』と必ず書かれています。

この気持ちは、本当です。

でも、実際の本音では、もっと別の『やりがい』があります。

それは、『捕まえるときの興奮』です。

盗犯刑事の醍醐味は、何と言ってもこれです!

これが現役警察官の本音です。

  • 獲物を追う感覚
  • 獲物が来た時の歓喜
  • 捕まえる直前の興奮
  • 声掛けするときの緊張

何とも表現できないほどの醍醐味です。

一度、想像してみて下さい。

被害が多数の連続窃盗事件が発生し、何とか次に発生しそうな場所を割り出し、
張り込みしている時の感覚

何日も何日も張り込みをして、
目の前に犯人が来た時の歓喜

犯人を逃がさないように、
声かけするタイミングを取るときの興奮

一斉にGOを掛ける時の緊張

想像するだけで興奮しませんか?

これが盗犯刑事の 醍醐味・魅力・やりがいなんです。

【体験談コレクション】 連続ひったくり犯人を現行犯逮捕せよ!

【体験談コレクション】  連続ひったくり犯人を現行犯逮捕せよ!

そのころ、連続ひったくり事件が発生していた。
連続と言っても、週に1回のペース。
自転車に乗った若い男が、
歩いている年配女性のカバンをひったくり、逃走するという事件だ。
目撃情報から、大学生風のキャップ帽を被った男らしい。

週に1回の発生というのは、なかなか難しい。
張り込みしていても、7分の1でしか発生しないので、緊張感が続かない。
徹底的に犯行分析し、次の犯行日時・場所を予測し、毎日数名の刑事が、付近を警戒した。

「今日は来る」
そう言いながら、2週間、空振りが続いた。

いつまで続けるか・・・そう思い始めたころだった。
若い刑事からの無線の声
「今〇〇を自転車で走っている紺色Tシャツの男 先ほどから2回往復しました」。

でも・・・キャップ帽をかぶっていない・・・。

そのとき男は、
通行中の50代の女性をチラッと見た

「コイツに間違いない」
すりやひったくり犯人が、女性が持っているカバンなどに視線を送り、目で物色する、
いわゆる「すり目」だ。

無線で一斉に流れる。
「紺Tの男注視」

男は、次に30代の女性に「すり目」を飛ばした。
女性はバッグを肘に掛けている。

まだ行かない・・・
若い女性は狙わないのか・・・。

次の瞬間、男は、取り出した黒いキャップ帽を深々と被った

やるゾ・・・

緊張が走る

「まだ動くな!」・・・無線の声

次の瞬間
30代女性の肘からバッグが外され、男が走る

一斉に男に襲い掛かる

現場の若い刑事は、それこそ心臓がバクバクです。

ベテランになっても、やはり緊張感はあります。

ほんとうは現場の指揮官が気を付けているのは、

  • 1番は、被害者が怪我をしないこと
  • 刑事が怪我をしないこと
  • 被疑者が怪我をしないこと

です。

なので実際は、被害者をカバーするための無線が多く流れます。

でもやはり若い刑事は、ついつい被害者のことよりも被疑者の確保に必死になります

それぐらい、興奮するんです。

 

こんなアイテムを持っていれば、他の刑事に、差を付けることができます。

『単眼鏡』をカバンに忍ばせておくと、張り込み時に、離れた場所から細かい状況の確認や、車のナンバーチェックなどができ、一目置かれる存在になります。

>>Vixen 単眼鏡はこちら

3.自分のペースが守れる

3つめの魅力は、
自分のペースで仕事ができるというところです。

例えば強行犯刑事のように、大きな事件があると、呼び出しを受け、当分休みは取れず・・・

ということはありません。

もちろん、
相手(どろぼう)がある仕事なので、完全に自分のペースではできません。

夜間に、盗みに行く相手なら、夜ばかり出勤することもあります。

朝、夜明け前ばかり狙うヤツもいます。

でも、ある程度、係内の業務の状況を考えながら、自分たちのペースで仕事を組めるというのは、
盗犯刑事のメリットです。

家族との時間も、取りやすく、
ワークライフバランスの維持ができます。

4.数多く経験が積める

盗難事件というのは、日常的に発生します。

空き巣犯人などは、1つの警察署で、年に数える程しか捕まえられませんが、
置引きや自転車窃盗などは、結構、数多く捕まえます。

こういった日常の事件をたくさん経験することで、若手の刑事が成長し、
刑事としてのスキルアップができます。

盗犯刑事は、こういった経験を積む上では、すごく恵まれた環境だと言えます。

盗犯刑事の苦労(ツライところ)

1.件数に追われる

昔のように、検挙件数、検挙人数のノルマはありません

でも、やはり、盗犯係の実績というのは、確実に数字で表れるため、
あんまり実績が低調だと、精神的に、プレッシャーはかかります

これは、民間であっても、どの業界でも同じで、当然と言えば当然かも知れません。

ただ、窃盗犯人は、『出ないときは出ない』ので、出ないものは捕まえられないんです。

それでも実績が低調だとキツイんです。

また、実績が低調でも、同じだけ給料は出ますので、
逆に、プレッシャーに感じるんです。

2.窃盗犯 以外は扱わない

盗犯刑事は、基本的に窃盗犯人以外は扱いません。

なので、他の犯罪を取り扱う時、どうしても腰が引けてしまいがちです。

とは言え、盗犯刑事の中にも、日ごろ当直で強行犯事件や薬物事件が発生すると、
積極的に関与し、自分のスキルアップを心掛けている刑事はたくさん居ます。

結局は、個人の資質なのかも知れません。

3.幹部が育ちにくい

盗犯刑事は、『やっていて面白い』ので、みんな今の部署から異動したがりません。

という事は、昇任意欲も低いんです。

必然的に、昇任試験に合格せず、ベテランになっても昇任しない人が多く居ます。

若い盗犯刑事は、もっと早く昇任して、次の時代の盗犯幹部になって欲しいです。

【コラム】盗犯刑事は 魚釣り好きが多い?

ちょっとひと息

私は釣りはやらないのですが、
魚釣りと盗犯刑事には、
意外な共通点があるんです。

盗犯刑事の中には、
趣味で魚釣りをする人が多いんです。

魚釣りと言うと、魚を釣るために、

  • 針、糸はどんな物を使うのか?
  • エサは何を使うのか?
  • 場所はどの辺りで狙うのか?
  • 深さは? 上げ方は? ・・・

等、あらゆる作戦を考えながら釣り上げ
楽しみます。

海の中にはたくさんの魚がいます。

その魚を自分のエサに食いつかせるのが
魚釣りです。

どろぼうを捕まえるのも、
あらゆる作戦を考えながら、逮捕するのが
盗犯刑事の仕事です。

共通点・・・わかりますか?

釣り好きのあなたは、
盗犯刑事に向いているかも知れませんよ??

まとめ

★盗犯刑事って何? 
  空き巣・ひったくり・万引きなどの
  窃盗事件を担当する刑事のこと

★盗犯刑事の4つのやりがい・魅力・メリット
 1.被害者からの感謝
   被害者から、お礼を言われた時、
   犯人を捕まえられるのは、
   我々刑事だけなんだ
   とやりがいを感じる。

 2.捕まえるときの感触
  ☆ 盗犯刑事の醍醐味は、何と言っても
   『捕まえるときの感触』!

  ☆ 捕まえるときの興奮
    目の前に犯人が来た時の歓喜
    声かけするタイミングの興奮
    盗犯刑事の醍醐味・魅力・やりがい

 3.自分のペースが守れる
   家族との時間も、取りやすく、
   ワークライフバランスの維持ができる

 4.数多く経験が積める
   日常の事件をたくさん経験でき、
   刑事としてのスキルアップができる

★盗犯刑事の辛いところ
 1.件数に追われる
   実績が低調だとキツイ

 2.窃盗犯 以外は扱わない
   他の犯罪は腰が引けてしまいがち

 3.幹部が育ちにくい
   昇任意欲が低い

おまけ記事 盗犯刑事は人気ナンバー1

刑事課の中でも、昔から、盗犯刑事は人気ナンバー1です。

犯罪者も、一番初めに侵す犯罪は窃盗が多いのですが、
刑事も『どろぼう捜査は、刑事の基本』と言われています。

刑法犯の約7割以上を窃盗犯罪が占めている訳ですから、刑事の中でも、その存在感は大きいんです。

刑事を目指すあなた!

盗犯刑事になりますか?

盗犯刑事の中でも、いろいろな得意があります

  • 割り出しが得意
  • 尾行が得意
  • 取調べが得意
  • 分析捜査が得意
  • 盗品捜査が得意

など、いろいろな得意が集まって、ひとつのチームになるんです。

自分の得意を伸ばして、盗犯刑事にチャレンジしてみてください。

もーやん

最後まで読んでくれてありがとうございます!
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もーやん
こんにちは!
この記事を書いた「もーやん」です。
刑事25年以上を経験した警察官です。
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