警察学校で学ぶこと!勉強内容【警察官が解説】授業科目は何する?

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就活生あや

警察学校では何を学ぶの?
6ヵ月間どんなことをやるの?

警察学校では、警察官としての任務を行うための職業訓練を行います。

形式的には他の学校と同じく、1日5時限の時間割が組まれていて、警察官の仕事を教わります。

  • 教場内で勉強する講義・座学
  • 現場を想定した実技シミュレーションロールプレイング

警察学校では、大きく分けて3つのカテゴリがあります。

  1. 実務
    ~警察官として現場で執行する実務科目
  2. 術科
    ~警察官として必要な体力・精神力を錬成するための科目
  3. 法学
    ~犯罪を取り締まるために必要な法律の知識を得るための科目
😊この記事でわかること
  • 警察学校で学ぶ科目・概要が分かる
  • 科目別の実習・訓練の内容が、具体的に分かる
  • 実態を理解すると、将来の自分の姿がイメージできる
目次

実務を学ぶ~講義と実技

警察官として必要な実務について

  • 講義~教場での座学
  • 実技~実習や訓練、ロールプレイング

で基礎知識を学びます。

科目は主に6科目です。

1.地域警察

警察学校を卒業すると、まず交番に配属されます。
主に交番での仕事内容について、どんな仕事があるのかを学びます。

  • パトロール
  • 警戒活動
  • 巡回連絡
  • 職務質問
  • 拾得物の取扱い
  • 事件発生時の初動措置 など

それぞれの仕事について、講義で概要を勉強した上で、ロールプレイングなどにより実技訓練を行います。

実技訓練の例
  1. 職務質問のロールプレイング
    教官が不審者役になり、学生が警察官役となって職務質問を行い、所持品検査や凶器の発見し、現行犯逮捕する様な想定などです。
  2. 拾得物の実技訓練
    教官が落とし物を届け出た市民役を行い、拾得物を受理する想定での訓練です。
  3. 二輪操法訓練
    地方県警の場合、小型バイクは交番勤務の必需品です。いわゆるペーパー二輪ドライバーに対しては、乗車訓練も行います。

2.刑事警察

刑事関係の業務についても、まずは座学で学び、更に実技訓練で身につけます。

  • 犯罪捜査規範など法規の理解
  • 事件捜査の基本
  • 被害届の受理要領
  • 逮捕・取調べ要領
  • 逮捕手続書など司法書類の作成要領
  • 現場鑑識の実習~指紋などの採取現場写真の撮影要領
実技訓練の例
  1. 司法書類の作成
    事件想定を撮影したVTRを見た後、実際に逮捕手続書などを作成する。
    教官が被害者役となり、自転車の盗難被害を届け出てきた想定で、被害届を作成する。
  2. 実況見分・鑑識活動実習
    模擬家屋(警察学校内にある一般家屋を想定した施設)にて、室内を荒らされた空き巣事件の想定に基づき、実況見分調書を作成する。
    あわせて指紋・足こん跡の採取、現場写真の撮影など鑑識作業の実習を行う。

刑事の魅力・やりがいについては、こちらの記事で解説しています。
刑事の魅力・やりがい!刑事が人気の理由を警察官が解説

3.交通警察

道路交通の安全に関する知識を学び、実習を行います。

  • 法令の知識
     道路交通法・道路運送車両法
  • 物損交通事故の処理要領
  • 交通違反の処理要領
  • 交通検問実習
     安全な車両停止要領取締り要領
  • 交通整理要領 など
実技訓練の例
  1. 交通事故現場対応
    現場臨場したものとして、物損交通事故届け出の対応、書類作成をする。
  2. 交通整理実習
    交通事故現場で渋滞が発生している、又は信号機が滅灯しているとの想定で、交通整理をする。
  3. 交通検問実習
    交通一斉検問時の安全な停止要領を学ぶ。

交通の魅力・やりがいについては、こちらの記事で解説しています。
交通課の仕事とは?魅力・やりがい【警察官の本音】

4.生活安全警察

身近な犯罪に対応する基本を学びます。

  • ストーカー・DV事案の対応
  • 児童虐待事案の対応
  • 犯罪抑止対策の基本
  • 少年補導の取扱い
  • 家出人届の受理
  • 泥酔者・病人の保護 など
実技訓練の例
  1. ストーカー、DV対応訓練
    ストーカー被害者が、交番に相談に訪れたとの想定で、相談の受理、対応要領、書類の作成等を行う。
  2. 児童虐待対応演習
    児童虐待の通報があり、該当者方に訪問するという想定で、虐待かどうかの着眼点などについて演習する。
  3. 泥酔者保護実習
    泥酔者が絡んでいるという想定で、泥酔者保護の要領、書類の作成などを実習する。

5.警備警察

災害警備実施や部隊行動の基本、要人警護の基本などを学びます。

  • 皇室や外国要人警護の基本
  • 災害発生時の対応要領
  • イベントなど雑踏警備の基礎
  • テロ活動など情報収集活動の基礎 など
実技訓練の例
  1. 雑踏警備実習
    イベントなど雑踏事故防止のための交通規制、交通整理、立入禁止規制要領などを実習する。
  2. 警備実施
    デモの規制要領などについては、別科目「警備実施」として部隊行動の基礎を訓練する。

6.警務警察

組織管理・運営に関する基本を学びます。

  • 警察官の装備品の取扱要領
  • 留置施設・護送要領の基本
  • 表彰・懲戒処分の知識 など
実技訓練の例
  1. 各種装備品の取り扱い
    手帳・警笛など装備品の取り扱いは、別科目「点検」でも訓練します。
  2. 逮捕術
    警棒の取扱いは、別科目「逮捕術」で基礎を訓練します。
  3. けん銃
    けん銃の取扱いは、別科目「けん銃」で訓練します。

実際の警察官の仕事の種類や、魅力・やりがいについては以下の記事で詳しく解説しました。
【採用希望のあなたに簡単解説】警察官の仕事の種類8部門とやりがい

警察学校での必需品はこちらの記事から!

術科を学ぶ~気力・体力

術科は、警察官として必要な体力・精神力を錬成するための科目です。

主に次の5科目に分かれています。

1.点検・礼式・教練

通常点検

警察官として、厳正な紀律を養うために、服装や姿勢、態度、装備品の点検を受ける要領について、何度も訓練を行います。≫警察点検規範はこちら

警察礼式

式典・表彰における礼式について学び、訓練を行います。

教練

部隊の整頓要領や行進要領などについて学び、訓練を行います。

2.柔道・剣道・逮捕術

柔道・剣道

警察官として、抵抗する相手へ対抗するための基礎として、柔道又は剣道を訓練します。

逮捕術

  • 警棒の取扱い要領
  • 相手が刃物を持っている時の対応要領
  • 体のかわし方
  • 制圧要領

などを習得します。

柔道や剣道の技を応用します。

もーやん

体力に自信のない人も、心配しなくても大丈夫です。

3.警備実施

部隊行動として、相手に対抗するための盾の取扱い方、デモの規制要領、遊撃部隊活動要領などの基本を訓練します。

4.けん銃

座学

けん銃の構造、安全装置の役割などを学びます。

  • 警察官職務執行法第7条
  • 警察官等けん銃使用及び取扱い規範

などの法規を学びます。

  • 使用が許される場合
  • 撃つことが許される場合

など、使用の根拠、限界について理解します。

実技

射撃場において、構え方、打ち方などを訓練した後、実際に実弾を射撃して、最小限の怪我で撃つ訓練を行います。

実弾射撃の他、さまざまな想定に基づいて撃つことが適正かどうかを判断しながら訓練できる「映像射撃装置」を使った訓練を実施します。

けん銃の授業は厳しい?

けん銃の授業は、他の授業と比較しても、特に厳しい授業です。

それは、事故が起きてはならないからです。

もーやん

けん銃の取扱いで事故が起きれば、生命に直結します。
だからけん銃の授業は、特に厳しい訓練になります。

5.体育

とにかく「走り」ます。

なぜ走るのかと疑問に思う方もいますが、警察官は、直ちに現場に向かうべき時が必ずあります。

短距離を早く走るというよりも、例えば1km先の現場に、走って早く到着するための体力をつけておく必要があります。

1km先の現場に行くのに、迎えの車を待つ猶予が無い場面があります。
市民に「車が来たら出発します」とは言えません。

ですから、ある程度の走力が必要なんです。

もーやん

走ることに自信のない人が多いですが、練習で何とかなります。
心配しなくても大丈夫です。

「スーツ」の準備はOK?

スーツは、就活用が2着あれば十分です。でも1着は良いモノが欲しいですよね。

就活生あや

1着は良いモノで決めたい!
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20代警察官・刑事のスーツの選び方は、こちらの記事に詳しく書きました!

法律を学ぶ~現場で活動するための根拠規程

実務能力を高める前に、法律を学びます。

警察官は、法律に基づいて職権職務を遂行します。

法律が分かっていなければ、実務は成り立ちません。

主に4つの科目として法学を学びます。

  1. 刑法
  2. 刑事訴訟法
  3. 憲法
  4. 警察行政法
    警察法・警察官職務執行法など

刑法

刑法は、何をすれば犯罪になるのかや、その犯罪を犯すとどんな刑罰を科せられるのかを規定した法律です。

刑法の基本原則として『罪刑法定主義』というものがあります。

罪刑法定主義とは、どの様なものが犯罪になるのか、どの様な刑罰が科せられるのかについて、犯罪を犯した時点において法律で明文化されていなければ、罰することはできないというものです。

つまり、法律で『ダメ』って書いていなければ、警察に捕まえられたりしないってことです。

例えば

刑法第235条(窃盗)

  • 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。と定められています。
  • この条文に「他人の物を盗んじゃダメ」と書いてあって、その刑罰の範囲も決まっているので、警察官が、その犯人に対して捜査ができるんです。

刑事訴訟法

刑事訴訟法は、刑事事件の捜査手続きや裁判手続きなどについて規定した法律です。
警察官として、任意捜査、逮捕、送致、勾留、捜索差押え、検視、告訴・告発などについて、どの様な手続きを踏んで行っていくのかが定められています。

例えば★
住居に対する捜索は、原則として裁判官の発する令状によって行うことができる。(218条)
とか
逮捕する場合は、218条の令状がなくても捜索することができる。(220条)
などが定められています。
このような手続きに基づいて、警察官としての仕事をする訳ですから、正当な手続きを知らなければ仕事をすることができませんので、警察学校で勉強する訳です。

例えば
  • 住居に対する捜索は、原則として裁判官の発する令状によって行うことができる。(218条)
  • 逮捕する場合は、218条の令状がなくても捜索することができる。(220条)

このような手続きに基づいて、警察官としての仕事をする訳ですから、正当な手続きを知らなければ仕事をすることができませんので、警察学校で勉強する訳です。

憲法

主に憲法第31条から第40条までを学びます。

31条から40条は、刑事手続き上の国民の権利を定められていて、刑事訴訟法の基礎となる条文です

各条文に、どの様なことが定められているのかについては、こんな感じです。

例えば
  • 法定の手続きの保障~31条
    何人も法定の手続きによらなければ、生命・自由を奪われ、刑罰を科せられない。
  • 逮捕の要件~33条
    何人も現行犯として逮捕される場合を除いて、裁判官による令状が無ければ逮捕されない。
  • 抑留・拘禁の要件~34条
    理由を告げられ・弁護人に依頼する権利を与えられなければ抑留・拘禁されない。
  • 住居の不可侵~35条
    住居などについて、捜索・押収をするには裁判官による令状がなければならない。

警察行政法

主に警察法、警察官職務執行法を学びます。

警察法

警察法第2条

警察法では、第2条に「警察の責務」つまり、「警察がすべき任務」が定められています。

警察法第2条(責務)

警察は、個人の生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪の予防、鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕、交通の取締その他公共の安全と秩序の維持に当ることをもつてその責務とする。

警察法で定められていること

警察組織について、色々と定められています。

例えば
  • 警察の組織や所掌事務(各担当のすべき任務)
  • 警察官の階級や職務
  • 管轄区域
  • 被服に関すること

警察官職務執行法

警察官職務執行法は、警察官が市民の生命・身体・財産を守りやすくするための手段を明文化したものです。

例えば
  • 質問~2条
    職務質問の根拠法令で、どのような場合に職務質問ができるのかなどが書かれています。
  • 保護~3条
    泥酔者や負傷者を保護するための法令で、保護した後の手続きなども書かれています。
  • 避難等の措置~4条
    災害や交通事故などで市民が危険にさらされている場合などに、危険を回避するために、警告したり避難させたりすると書かれています。
  • 犯罪の予防・制止~5条
    犯罪が行われようとする場合などに、警告したり制止すると書かれています。
  • 立入り~6条
    4条や5条の様な場合に、その場に立ち入ることができると書かれています。
  • 武器の使用~7条
    どのような場合に、けん銃や警棒を使うことができるのかが書かれています。

警察学校での試験

警察学校で学んだことについて、2回ほど試験があります。

これは、将来ずっとつき合っていく『昇任試験』と同じ形で行われますので、昇任試験の練習と思って取り組むべきです。
もちろん警察学校の成績として、順位がつけられます。

科目は
  • 法学
    憲法・行政法、刑法、刑事訴訟法
  • 実務
    警務、生活安全、刑事、交通、警備

などとわかれています。

昇任試験がどんなモノなのか気になる方は、現役警察官向けの記事に触れてみてください。
巡査部長昇任試験の論文の書き方!

 

読書のススメ~市民との会話をするために

会話のネタが必要

警察官は、市民との会話によって関係性をつくる場面が多いです。

ちょっとした話題について、知っているか知らないかでは大違い。

「物知り」は強いんです。

本を読んで、幅広い知識を身につけることは、とても大切です。

どんな本でもいいので、読書の習慣をつけましょう!

読書嫌いのあなたへ~オーディブルのススメ

あなたは読書が嫌いですか?
本を読むと、いろんな知識が身につくことは、わかっています。

もーやん

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警察学校で学ぶべき1番大切なこと~警察官の心構え

各科目のすべてが、警察官として各警察署に赴任した後、実務を行うための科目です。

実際に現場で使うことばかりで、それぞれとても重要な科目です。

これを大学卒の人は6カ月間、その他の方は10カ月間かけて学びます。

初任科職場実習初任補修科実戦実習
大学卒6ヵ月3ヵ月2ヵ月4ヵ月
高校卒
短大卒
10ヵ月3ヵ月3ヵ月5ヵ月

でも何よりも学ばなければならないのは
警察官としての心構え・覚悟です。

職務倫理の基本は、心構え・覚悟を表しています。

職務倫理の基本
  1. 誇りと使命感を持って、国家と国民に奉仕すること
  2. 人権を尊重し、公正かつ親切に職務を遂行すること
  3. 規律を厳正に保持し、相互の連帯を強めること
  4. 人格を磨き、能力を高め、自己の充実に努めること
  5. 清廉にして、堅実な生活態度を保持すること
    ≫警察職員の職務倫理及び服務に関する規則 はこちら

この職務倫理の基本について、深く理解することが、警察官としての心構え・覚悟だと思います。

警察学校では、何よりも学ぶべき、大切なことです

警察学校で学ぶ科目について、お分かりいただけたでしょうか?

 

警察学校の必需品や選び方については、こちらの記事へ
【警察学校の持ち物】揃えるモノの選び方のポイント

 

もーやん

最後まで読んでくれてありがとうございます!
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泣いて喜びます!

 

もーやん
こんにちは!
この記事を書いた「もーやん」です。
刑事25年以上を経験した警察官です。
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