最近、部下を怒鳴るとパワハラと言われます。
でも時には怒鳴ることも必要だと思います。
部下を育てたい気持ちがあっても、怒鳴ればパワハラだよ!
おだやかに教える方法を考えなきゃ。
でも、警察官は生命に関わる仕事もあるので厳しい指導も必要です。
部下の育成方法で悩んでいるあなた!怒鳴られて育った人は、自分もついつい怒鳴りがちです。
ツヨシ主任は、自分が若いころ『怒鳴られたおかげで、成長できた』と思っています。でも実は、『怒鳴られたおかげ』というのは勘違いです。『怒鳴られてなくても、成長できていた』んです。
結論は、人前で怒鳴るとパワハラです。この記事では、どんな場合にパワハラになるのかを詳しく解説します。
- どんな指導がパワハラになるのかがわかる
- 怒鳴る指導は効果的ではないことがわかる
- 怒鳴らない指導で部下の成長を見守れる上司になれる
人前で怒鳴るとパワハラなる!
パワハラとは、どんな行為を言うのでしょうか?
何をすればパワハラになるのか?6類型
パワハラの6類型について、わかりやすく説明します。
- 身体的攻撃
殴る、ける、書類などを投げつけるなど - 精神的攻撃
長時間どなりつける、何度もくりかえし怒る、みんなの前で大声でおこるなど - 人間関係からの切り離し
集団で無視する、理由なくチームから外す、別室に隔離するなど - 過大な要求
対応できないレベルの目標を与える、業務と無関係の雑用をさせるなど - 過小な要求
仕事をあたえない、立場にあわない単純業務だけをさせるなど - 個の侵害
個人情報を暴露する、職場外で継続して監視するなど
パワハラにあたるかどうかの境目・基準
パワハラの定義について、厚生労働省が定めています。
この3つにすべてあてはまれば、パワハラと認定されます。
職場のパワーハラスメントとは、職場において行われる
1.優越的な関係を背景とした言動であって
2.業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより
3.労働者の就業環境が害されるものであり1から3までの3つの要素を全て満たすものをいいます。
引用:厚生労働省ホームページ ハラスメントの定義
お役所言葉は難しくて、わかりづらいです。簡単に言うと、次の3つすべてに該当するとパワハラになります。
- 上下関係にある
- 限度を超えている
- 働きづらい環境になっている
人前で怒鳴るとパワハラに当たるのか?
1度、怒鳴ったからと言って、直ちにパワハラになるとは言いません。
でも、日常的に何度も怒鳴り、3要素すべてに該当すると、それはパワハラに認定されます。
1.上下の関係にあるとは
- 上司⇔部下の関係
- 先輩⇔後輩の関係
- 業務の経験
など上下の関係にあることが必要です。
業務の経験というのは、
優越的立場である部下が、上司に対して攻撃する場合です。
例えば、現場経験が豊富な刑事主任が、現場経験が少ない刑事係長に対して、精神的攻撃をする場合などもパワハラにあたります。
2.限度を超えた言動とは
警察官として生命に関わる仕事、例えば
- 交通検問中に、部下が危険な停止方法で車に轢かれそうな時に、安全な場所で停止するよう怒鳴りつけた
- 興奮している被疑者と対峙した若い刑事が、安全を確保せずに立ち向かおうとしていたので、怒鳴りつけた
こんな場合は、『限度を超えた』とは言えないので、パワハラには該当しません。
しかし無駄に怒鳴っている場合、例えば
- 何度も教えているのに、書類がうまく書けていないといって、大声で怒鳴りつけた
- 相談・質問をせずに、勝手に行動して失敗したといって、大声で怒鳴りつけた
こんな場合は、無駄な怒鳴りです。パワハラに該当します。
怒鳴ってわかるぐらいなら、何度も同じ間違いを繰り返しません。
- 何が理解できていないのか
- なぜ質問しないのか
を考えて指導するべきです。
3.働きづらい環境とは
- 前に言ったのに、同じような書類を書いてくる
- 何度教えても、同じ間違いをする
こんなことは良くあることです。
書類がうまく書けない原因は、教えたことがわかっていないからです。
わかっていないから、何度やってもできません。
なのに怒鳴ってみても、何の解決にもなりません。
言ってることがわからないけど、怒鳴られると、聞きづらい。。。
聞きづらい環境こそ、働きづらい環境です。
怒鳴られた時、あなたなら勇気を出して質問していたかも知れません。
でも、誰もが質問できるとは限らないんです。
怒鳴るってどういうこと? 『怒鳴るのメカニズム』
『怒鳴る』とは、どういう行動なのかを考えた上で、怒鳴られたから成長できたのかを考えます。
『怒鳴る』とはどういう行動なのか
『怒鳴る』あるいは『叩く』という行為は、恐怖で支配しようとする行動です。
相手を怖がらせることによって、こちらの意図を伝え、無理矢理、支配しようとするということです。
- 恐怖感やくやしさを感じさせて、無理矢理やる気を起こさせたい
- 俺がこれだけ教えているということを、周りにアピールしたい
そのための行動が『怒鳴る』ということです。
怒鳴る人はこんな人です。
- 怒鳴ることでしか、表現できない人
- 穏やかな言葉では、指導できない人
怒鳴る指導の悪循環
- ツヨシ主任は、新人の頃、上司・先輩から怒鳴られて成長した
- 怒鳴られたからこそ、スキルを獲得して、一人前になった
→ ツヨシ主任は、ある意味、成功者・生存者
→ でも怒鳴られて、委縮して成長できなかった人もいる
他係に異動して成長した人もいる - ツヨシ主任は、怒鳴ってくれた上司に感謝している
- ツヨシ主任は、部下を怒鳴ることで、スキルを獲得してほしいと思っている
→ だから怒鳴って指導する - その部下も、スキルを獲得して成功すれば、また怒鳴る指導をする
怒鳴られたから成長できたのか?
怒鳴るタイプから指導を受けたツヨシ主任は、運よくスキルを獲得しました。
では、怒鳴らないタイプに指導を受けた部下は、スキルを獲得できないのでしょうか?
そんなことはありません。ちゃんと成長します。
- 怒鳴られたからスキルを獲得したというのは勘違いです。
ツヨシ主任自身は、怒鳴られていなくても、一人前になっていたんです。
つまり、怒鳴ることと、スキルを獲得することの間に、因果関係は全くありません。
『怒鳴られたから一人前になった』と思っているのは、マボロシです。
成功しなかった人の意見を聞かずに、生存者・成功者の意見だけを聞いて判断すると、評価や判断を間違うことがあります。
この評価・判断の誤りを『生存バイアスの罠』と言います。
つまり、生き残れなかった者の意見・失敗例を考慮しなければ、全体像を把握することができないと言うことで、『成功者の意見が、常に正しいとは限らない』ことを意味します。
具体的には、怒鳴られたことで、生き残れなかった者を考慮すれば、
『怒鳴る指導』が正しくないと言うことは、明白な事実です。
なぜ警察学校の教官は怒鳴るのか
ではなぜ、警察学校の教官は、怒鳴る指導をするのか?
教官が怒鳴るのは、『動じない』ための訓練です。
警察官は、現場で酔っ払いなどに
- 怒鳴られる
- 罵声を浴びせられる
ということが日常的に起こります。
罵声に圧倒されたり、後ずさりすると、仕事になりません。
そのための訓練をしていると言うことです。
教官が怒鳴る理由について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
≫警察学校は厳しい?一日の生活や授業科目
警察官の仕事が「きつい」と感じたら、乗り越える秘訣を読んでみてください!
指導者のタイプ
怒鳴るタイプの人と、怒鳴らないタイプの人
どの様な特徴があるのか、まとめてみました。
怒鳴るタイプ
ツヨシ主任タイプ
- 新人の頃、怒鳴られて、叩かれて育った
- 怒鳴られたからこそ、スキルを獲得できたので感謝している
- 現在は仕事ができる人、管理職になっている
- パワハラ育ちではあるが、自分はパワハラではないと思っている
- 体育会系に多い
- 40~50歳代に多い
怒鳴らないタイプ
- 新人の頃から、あまり怒鳴られずに育った
- 怒鳴られなくても、スキルを獲得できることを知っている
- 怒鳴る人がいると、時には知らない振りをしてしまう
- 自分が育った様に、部下には怒鳴らない
- 厳しい指導が必要な場合でも「怒鳴る以外の方法」を模索する
- 20~30歳代に多い
取調べに学ぶ時代の変化~怒鳴らない刑事の取調べ技術
部下を怒鳴らずに、どうやって育てれば良いのでしょうか?
刑事が、取調べを怒鳴らずにやってきた時代の変化を考えてみましょう。
時代の流れ~取調べ方法の変化
昔は、被疑者の取調べで、怒鳴って自供させていた刑事がいました。
平成20年に始まった ≫取調べ監督制度 により、畏怖困惑をさせることなどを監督対象行為として規定しました。
時代の変化の中で、怒鳴る方法で取調べをしてきた刑事は、生き残りをかけて、
- 『怒鳴らずに自供させる技術』を工夫・模索
し、その努力を惜しみませんでした。
最近では、怒鳴らなければ自供させる事ができない刑事は、居なくなりました。
その努力を怠った不器用な刑事たちは、捜査の現場から去っていき、いつしか
- 怒鳴らずに取調べる
のが当たり前になったんです。
この努力によって、怒鳴らずに自供させる技術が構築されたんです。
怒鳴らずに教える技術
では、部下の指導に関しては、いかがでしょうか?
- 忙しいから、怒鳴ってでも教えないと、業務が進まない
- あいつの状態を知らないから、悠長なことを言えるんだ
と逃げてませんか?
すぐにできるほど簡単だとは言いません。中には指導に手のかかる新人もいます。
でも、上司・先輩として、『怒鳴らずに育てる技術』を磨く努力は必要とわかっているでしょう?
怒鳴らなければ部下を育てられない様な上司は、教える技術が足りないことを自覚してください。
厳しく言うと、そんな上司は、上司である資格はありません。自然と淘汰されていくでしょう。
階級章を返納する時が来ます。
『怒鳴らずに育てる技術』を磨くことを意識して、若手を育成しましょう!
職場の雰囲気を良くするために
うちの職場にも、ツヨシ主任みたいに、いつも部下を怒鳴っている人がいます
私が怒鳴られている訳ではないのですが、職場の雰囲気は最悪です。
自分が怒鳴られている訳ではないので、注意しづらいですよね。
でも、怒鳴っている声が聞こえてくると、
- 気持ちが高ぶり
- 精神的につらくなります。
そうなると職場の業務効率は下がる一方。
雰囲気も最悪になるのは目に見えています。
職場の雰囲気を悪くする人の対応策について、わかりやすい本があります。
『 Think CIVILITY 』シンクシビリティは、
- 無礼な人がいると、職場はどうなるのか
- 無礼な人に、どう対応するか
- 無礼な人に、どう判らせるか
が判りやすく説明してあり、最終的に、雰囲気の良い職場に変えるまでの経緯が書かれています。
是非、参考にしてみてください。
本を読むのが苦手な人は。。。
≫Think CIVILITY audible版 はこちら
読書嫌いのあなたへ~オーディブルのススメ
あなたは読書が嫌いですか?
本を読むと、文章構成がウマくなることは、わかっていますね。
実は、もーやんは、読書が大の苦手。
いつも眠い目をコスって、根性で本を読んでいました!
そんな読書嫌いのあなたに、とっておきがあります。読書が苦手だった🐮もーやんは、本を聴くことが楽しく、人生が劇的に変わりました。
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オーディブルについては、こちらの記事で詳しく書いています。
人生が劇的に変わった理由について、参考にしてください。
最後まで読んでくれてありがとうございます!
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