人前で大声で怒鳴るとパワハラ!【警察官の取調べ】に学ぶ時代の変化

当ページのリンクには広告が含まれています。

 

ツヨシ主任

最近、部下を怒鳴るとパワハラと言われます。
でも時には怒鳴ることも必要だと思います。

かずなり係長

部下を育てたい気持ちがあっても、怒鳴ればパワハラだよ!
おだやかに教える方法を考えなきゃ。

ツヨシ主任

でも、警察官は生命に関わる仕事もあるので厳しい指導も必要です。

部下の育成方法で悩んでいるあなた!怒鳴られて育った人は、自分もついつい怒鳴りがちです。

ツヨシ主任は、自分が若いころ『怒鳴られたおかげで、成長できた』と思っています。でも実は、『怒鳴られたおかげ』というのは勘違いです。『怒鳴られてなくても、成長できていた』んです。

結論は、人前で怒鳴るとパワハラです。この記事では、どんな場合にパワハラになるのかを詳しく解説します。

😊この記事でわかること
  • どんな指導がパワハラになるのかがわかる
  • 怒鳴る指導は効果的ではないことがわかる
  • 怒鳴らない指導で部下の成長を見守れる上司になれる
目次

人前で怒鳴るとパワハラなる!

パワハラとは、どんな行為を言うのでしょうか?

何をすればパワハラになるのか?6類型

パワハラの6類型について、わかりやすく説明します。

パワハラの6類型
  1. 身体的攻撃
    殴る、ける、書類などを投げつけるなど
  2. 精神的攻撃
    長時間どなりつける、何度もくりかえし怒る、みんなの前で大声でおこるなど
  3. 人間関係からの切り離し
    集団で無視する、理由なくチームから外す、別室に隔離するなど
  4. 過大な要求
    対応できないレベルの目標を与える、業務と無関係の雑用をさせるなど
  5. 過小な要求
    仕事をあたえない、立場にあわない単純業務だけをさせるなど
  6. 個の侵害
    個人情報を暴露する、職場外で継続して監視するなど

パワハラにあたるかどうかの境目・基準

パワハラの定義について、厚生労働省が定めています。

この3つにすべてあてはまれば、パワハラと認定されます。

職場のパワーハラスメントとは、職場において行われる

 1.優越的な関係を背景とした言動であって
 2.業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより
 3.労働者の就業環境が害されるものであり

1から3までの3つの要素を全て満たすものをいいます。

引用:厚生労働省ホームページ ハラスメントの定義

お役所言葉は難しくて、わかりづらいです。簡単に言うと、次の3つすべてに該当するとパワハラになります。

パワハラの3要素
  1. 上下関係にある
  2. 限度を超えている
  3. 働きづらい環境になっている

人前で怒鳴るとパワハラに当たるのか?

1度、怒鳴ったからと言って、直ちにパワハラになるとは言いません。

でも、日常的に何度も怒鳴り、3要素すべてに該当すると、それはパワハラに認定されます。

1.上下の関係にあるとは

  • 上司⇔部下の関係
  • 先輩⇔後輩の関係
  • 業務の経験

など上下の関係にあることが必要です。

業務の経験というのは、
優越的立場である部下が、上司に対して攻撃する場合です。

例えば、現場経験が豊富な刑事主任が、現場経験が少ない刑事係長に対して、精神的攻撃をする場合などもパワハラにあたります。

2.限度を超えた言動とは

警察官として生命に関わる仕事、例えば

  • 交通検問中に、部下が危険な停止方法で車に轢かれそうな時に、安全な場所で停止するよう怒鳴りつけた
  • 興奮している被疑者と対峙した若い刑事が、安全を確保せずに立ち向かおうとしていたので、怒鳴りつけた

こんな場合は、『限度を超えた』とは言えないので、パワハラには該当しません。

 

しかし無駄に怒鳴っている場合、例えば

  • 何度も教えているのに、書類がうまく書けていないといって、大声で怒鳴りつけた
  • 相談・質問をせずに、勝手に行動して失敗したといって、大声で怒鳴りつけた

こんな場合は、無駄な怒鳴りです。パワハラに該当します。

怒鳴ってわかるぐらいなら、何度も同じ間違いを繰り返しません。

  • 何が理解できていないのか
  • なぜ質問しないのか

を考えて指導するべきです。

3.働きづらい環境とは

  • 前に言ったのに、同じような書類を書いてくる
  • 何度教えても、同じ間違いをする

こんなことは良くあることです。

 

書類がうまく書けない原因は、教えたことがわかっていないからです。

わかっていないから、何度やってもできません。

なのに怒鳴ってみても、何の解決にもなりません。

れお巡査

言ってることがわからないけど、怒鳴られると、聞きづらい。。。

聞きづらい環境こそ、働きづらい環境です。

もーやん

怒鳴られた時、あなたなら勇気を出して質問していたかも知れません。
でも、誰もが質問できるとは限らないんです。

怒鳴るってどういうこと? 『怒鳴るのメカニズム』 

『怒鳴る』とは、どういう行動なのかを考えた上で、怒鳴られたから成長できたのかを考えます。

『怒鳴る』とはどういう行動なのか

『怒鳴る』あるいは『叩く』という行為は、恐怖で支配しようとする行動です

相手を怖がらせることによって、こちらの意図を伝え、無理矢理、支配しようとするということです。

  • 恐怖感やくやしさを感じさせて、無理矢理やる気を起こさせたい
  • 俺がこれだけ教えているということを、周りにアピールしたい

そのための行動が『怒鳴る』ということです。

怒鳴る人はこんな人です。

  • 怒鳴ることでしか、表現できない人
  • 穏やかな言葉では、指導できない人

怒鳴る指導の悪循環

  1. ツヨシ主任は、新人の頃、上司・先輩から怒鳴られて成長した
  2. 怒鳴られたからこそ、スキルを獲得して、一人前になった
     → ツヨシ主任は、ある意味、成功者・生存者
     → でも怒鳴られて、委縮して成長できなかった人もいる
       他係に異動して成長した人もいる
  3. ツヨシ主任は、怒鳴ってくれた上司に感謝している
  4. ツヨシ主任は、部下を怒鳴ることで、スキルを獲得してほしいと思っている
     → だから怒鳴って指導する
  5. その部下も、スキルを獲得して成功すれば、また怒鳴る指導をする

怒鳴られたから成長できたのか?

怒鳴るタイプから指導を受けたツヨシ主任は、運よくスキルを獲得しました。

では、怒鳴らないタイプに指導を受けた部下は、スキルを獲得できないのでしょうか?

そんなことはありません。ちゃんと成長します。

  • 怒鳴られたからスキルを獲得したというのは勘違いです。

ツヨシ主任自身は、怒鳴られていなくても、一人前になっていたんです。

つまり、怒鳴ることと、スキルを獲得することの間に、因果関係は全くありません

『怒鳴られたから一人前になった』と思っているのは、マボロシです。

『生存バイアスの罠』とは?

成功しなかった人の意見を聞かずに、生存者・成功者の意見だけを聞いて判断すると、評価や判断を間違うことがあります。

この評価・判断の誤りを『生存バイアスの罠』と言います。

つまり、生き残れなかった者の意見・失敗例を考慮しなければ、全体像を把握することができないと言うことで、『成功者の意見が、常に正しいとは限らない』ことを意味します。

具体的には、怒鳴られたことで、生き残れなかった者を考慮すれば、

『怒鳴る指導』が正しくないと言うことは、明白な事実です。

なぜ警察学校の教官は怒鳴るのか 

ではなぜ、警察学校の教官は、怒鳴る指導をするのか?

教官が怒鳴るのは、『動じない』ための訓練です。

警察官は、現場で酔っ払いなどに

  • 怒鳴られる
  • 罵声を浴びせられる

ということが日常的に起こります。

罵声に圧倒されたり、後ずさりすると、仕事になりません。

そのための訓練をしていると言うことです。

教官が怒鳴る理由について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
警察学校は厳しい?一日の生活や授業科目

警察官の仕事が「きつい」と感じたら、乗り越える秘訣を読んでみてください!

指導者のタイプ 

怒鳴るタイプの人と、怒鳴らないタイプの人

どの様な特徴があるのか、まとめてみました。

怒鳴るタイプ

ツヨシ主任タイプ

ツヨシ主任タイプ
  • 新人の頃、怒鳴られて、叩かれて育った
  • 怒鳴られたからこそ、スキルを獲得できたので感謝している
  • 現在は仕事ができる人、管理職になっている
  • パワハラ育ちではあるが、自分はパワハラではないと思っている
  • 体育会系に多い
  • 40~50歳代に多い

怒鳴らないタイプ

かずなり係長タイプ
  • 新人の頃から、あまり怒鳴られずに育った
  • 怒鳴られなくても、スキルを獲得できることを知っている
  • 怒鳴る人がいると、時には知らない振りをしてしまう
  • 自分が育った様に、部下には怒鳴らない
  • 厳しい指導が必要な場合でも「怒鳴る以外の方法」を模索する
  • 20~30歳代に多い

取調べに学ぶ時代の変化~怒鳴らない刑事の取調べ技術

部下を怒鳴らずに、どうやって育てれば良いのでしょうか?

刑事が、取調べを怒鳴らずにやってきた時代の変化を考えてみましょう。

時代の流れ~取調べ方法の変化

昔は、被疑者の取調べで、怒鳴って自供させていた刑事がいました。

平成20年に始まった ≫取調べ監督制度 により、畏怖困惑をさせることなどを監督対象行為として規定しました。

時代の変化の中で、怒鳴る方法で取調べをしてきた刑事は、生き残りをかけて、

  • 『怒鳴らずに自供させる技術』を工夫・模索

し、その努力を惜しみませんでした。

最近では、怒鳴らなければ自供させる事ができない刑事は、居なくなりました。

その努力を怠った不器用な刑事たちは、捜査の現場から去っていき、いつしか

  • 怒鳴らずに取調べる

のが当たり前になったんです。

この努力によって、怒鳴らずに自供させる技術が構築されたんです。

怒鳴らずに教える技術

では、部下の指導に関しては、いかがでしょうか?

  • 忙しいから、怒鳴ってでも教えないと、業務が進まない
  • あいつの状態を知らないから、悠長なことを言えるんだ

と逃げてませんか?

すぐにできるほど簡単だとは言いません。中には指導に手のかかる新人もいます。

でも、上司・先輩として、『怒鳴らずに育てる技術』を磨く努力は必要とわかっているでしょう?

怒鳴らなければ部下を育てられない様な上司は、教える技術が足りないことを自覚してください。

厳しく言うと、そんな上司は、上司である資格はありません。自然と淘汰されていくでしょう。

階級章を返納する時が来ます。

『怒鳴らずに育てる技術』を磨くことを意識して、若手を育成しましょう!

職場の雰囲気を良くするために

ももこ刑事

うちの職場にも、ツヨシ主任みたいに、いつも部下を怒鳴っている人がいます
私が怒鳴られている訳ではないのですが、職場の雰囲気は最悪です。

自分が怒鳴られている訳ではないので、注意しづらいですよね。

でも、怒鳴っている声が聞こえてくると、

  • 気持ちが高ぶり
  • 精神的につらくなります

そうなると職場の業務効率は下がる一方。

雰囲気も最悪になるのは目に見えています

 

職場の雰囲気を悪くする人の対応策について、わかりやすい本があります。

『 Think CIVILITY 』シンクシビリティは、

  • 無礼な人がいると、職場はどうなるのか
  • 無礼な人に、どう対応するか
  • 無礼な人に、どう判らせるか

が判りやすく説明してあり、最終的に、雰囲気の良い職場に変えるまでの経緯が書かれています。

是非、参考にしてみてください。

Think CIVILITY(シンク シビリティ) 「礼儀正しさ」こそ最強の生存戦略である

本を読むのが苦手な人は。。。

Think CIVILITY audible版 はこちら

 

読書嫌いのあなたへ~オーディブルのススメ

あなたは読書が嫌いですか?

本を読むと、文章構成がウマくなることは、わかっていますね。

もーやん

実は、もーやんは、読書が大の苦手
いつも眠い目をコスって、根性で本を読んでいました!

そんな読書嫌いのあなたに、とっておきがあります。読書が苦手だった🐮もーやんは、本を聴くことが楽しく、人生が劇的に変わりました

Amazonオーディブルaudibleは、プロの声優や俳優が朗読した本を、スマホで聴けるアプリです。無料体験できるので安心です。

オーディブルについては、こちらの記事で詳しく書いています。
人生が劇的に変わった理由について、参考にしてください。

もーやん

最後まで読んでくれてありがとうございます!
ご感想、ご質問をコメント欄に書き込んでください!
泣いて喜びます!

もーやん
こんにちは!
この記事を書いた「もーやん」です。
刑事25年以上を経験した警察官です。
若い警察官の悩みを解決する記事や、魅力・やりがいを発信します!
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次